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月別アーカイブ: 2025年9月

黒江システム技研のよもやま話~第12回~

皆さんこんにちは!

黒江システム技研、更新担当の中西です。

 

~やりがい~

 

人手不足・多品種化・コスト高。現場の課題が絡み合ういま、
省人化システムは設計→設置→修理(保全)まで“運用で価値を出し切る”ことが勝負です。
ここでは、発注側のリアルなニーズ
と、現場で感じるやりがいを、実務に直結する形で整理します。


1|まず押さえる価値軸:いま求められている“5つのS” 🧭

  1. Speed(立上げの速さ):短工期・早期安定化。FAT/SATとモジュール化。

  2. Stability(安定可用性):止めない運用。冗長・予兆保全・遠隔支援。

  3. Savings(省人・省コスト):人時削減・タクト短縮・歩留まり改善・LCC最適。

  4. Safety/Security(安全・サイバー):リスクアセスメント、権限管理、パッチ計画。

  5. Sustainability(省エネ・再生):エネルギー原単位低減、EoL対策、再生部品活用。


2|ステークホルダー別の“リアルなニーズ” 📌

経営・工場長/DC長

  • 投資回収の見通し(人時・OEE・CO₂削減のKPI定義)

  • スケール可能性(他ライン/他拠点への横展開)

生産技術・IE・現場責任者

  • 段取り替えの速さ(SKU変動対応、治具・レシピの一元管理)

  • 保守性(ログ・部品EoL・手順の標準化)

品質・安全・情報システム

  • トレーサビリティ(稼働・不良・介入ログ)

  • 安全+セキュアの両立(安全回路とネットワークポリシー整合)

現場オペレーター

  • 操作の簡単さ(UI、アンドン、異常時のガイダンス)

  • 夜間無人の安心感(自動復旧・遠隔支援・明確なエスカレーション)


3|技術的ニーズ(設計・設置・修理の勘所)🧪

  • 設計:標準プラットフォーム+差分設計/3Dシミュレーション/リスクアセスメント(SIL/PL)。

  • 設置:プレハーネス・ユニット化、FAT→SATの試験項目固定、受入安全チェックリスト。

  • 修理TBM→CBM→PdMの段階運用、重要部位(振動・温度・電流)の閾値設計、遠隔診断。

  • データ:OEEダッシュボード、停止要因Pareto、レシピ・ソフトのバックアップ/リストア。

  • サイバー:ユーザー権限・証跡・パッチ計画・ネットワーク分離(VLAN/防火壁)。


4|“やりがい”が生まれる瞬間(役割別)✨

  • 設計者:仮想試運転どおりに初回で流れが決まる瞬間。

  • 据付・立上げ:夜間切替→翌朝定常稼働で現場から「助かった」。

  • 保全エンジニア:予兆を掴み止まる前に直す、ログで自分の貢献が見える。

  • データ運用担当:OEE・不良率がチューニングで目に見えて改善

  • PM/営業:設備ではなく効果(人時・CO₂・品質)で指名される喜び。


5|“選ばれる会社”の差別化ポイント 🧩

  1. タイム・トゥ・バリュー短縮:テンプレ部品・モジュール設計、標準FAT/SAT。

  2. 現場翻訳力:ダッシュボードを現場の意思決定に落とす(誰が、何を、いつ変える)。

  3. SLAと成果指標MTTR・可用性・OEE・エネ原単位のSLA運用。

  4. EoL/サプライ対策:代替部品提案、逆設計、年次更新計画。

  5. セーフティ×セキュリティ:安全回路・非常停止・権限管理の整合設計


6|“今日から”使える運用テンプレ ✅

A. 設計前ヒアリング10項目

  1. 目的KPI(人時/OEE/不良/CO₂) 2) SKU/段替頻度 3) 停止可能時間

  2. 既存I/F(PLC/上位) 5) 安全要求 6) ITポリシー(ID/通信/更新)

  3. 物流導線 8) 教育対象(オペ/保全) 9) 予備品/EoL 10) 省エネ目標

B. 据付〜立上げの標準手順(要点)

  • 受入安全検査(非常停止・フェンス・セーフティI/O)

  • レベル出し→配線→I/Oチェック→ドライ→ウェット→量産試し

  • レシピ・バックアップ、ロールバック手順の明文化

C. 保全台本

  • 監視点:振動/温度/電流(閾値→アラート→指示→交換)

  • 週次:停止要因Pareto→1アクション(設定/治具/点検)

  • 月次:OEE/エネ原単位レビュー→改善計画更新


7|KPIで“ニーズとやりがい”を可視化 📊

  • 稼働:稼働率、OEE、MTBF/MTTR、計画外停止時間

  • 品質:不良率、再検率、トレーサビリティ欠落ゼロ

  • 省人/コスト:人時/個、段替時間、在庫回転、LCC

  • エネルギー:kWh/個、ピーク電力、回生・待機削減

  • 安全/セキュリティ:災害ゼロ日数、是正完了率、パッチ適用率


8|よくある“つまずき”と回避策 🧯

  • 要件ふわふわ → ユースケースとKPIを1枚の要件定義でロック。

  • 段替に弱い → レシピ一元管理・治具標準化・自動位置決め。

  • 立上げ長引く → 事前FATのドライ/ウェット分離、現地は接続と最終調整に集中。

  • ログが活きない → 停止要因の分類を5〜7カテゴリに固定、週次で1改善。

  • EoL突発 → 主要部品の供給期限リスト化、代替設計の事前承認


9|ケーススタディ(フィクション)📘

  • 食品工場のパッケージング:SKU増で段替多発 → レシピと治具統一+AMR導入。人時-28%/OEE+7pt/クレームゼロ

  • EC倉庫の仕分け:AGV+AIビジョン導入、夜間無人で稼働。遠隔監視と予兆で計画外停止-60%

  • 金属加工のセル化:旧装置をOPC UAで統合、ダッシュボード運用で不良-35%/電力-14%


10|“提案が通る”3プラン(Good/Better/Best)💡

  • Good(可視化):主要設備の稼働・停止・不良の見える化+TBM

  • Better(最適化):+ CBM/PdM、AMR/協働ロボ、SLA(可用性・MTTR)。

  • Best(成果保証):+ 成果連動契約(OEE/人時/CO₂)、自動スケジューラ、EoL計画と年次CAPEX提案。
    → それぞれに回収年数・人時削減・電力削減の試算を添える。


11|ニーズは“選ばれる理由”、やりがいは“続ける力” 🌟

省人化は、機械を置くことではなく、止めない仕組みを運用で再現すること
標準化された設計×短い立上げ×予兆保全×SLAでニーズに応えるほど、
グラフも現場の表情も良くなります。
「今日も工場(倉庫)が止まらなかった」——その静かな達成感こそ、この仕事のやりがいです。

 


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黒江システム技研のよもやま話~第11回~

皆さんこんにちは!

黒江システム技研、更新担当の中西です。

 

~変遷~

同じ“自動化”でも、必要とされるスキルと価値の置き所はこの30年で大きく変わりました。
ここでは、**設計→設置→修理(保全)**を一貫して担う現場の目線で、技術・オペレーション・ビジネスモデルの変遷を振り返ります。


1|1990s:専用機とPLCの時代—“止まらず回る”が価値

  • 技術の主役:専用機/搬送ライン、PLC+リレー、2Dセンサ、エア駆動。

  • 設計〜設置:個別図面→現地合わせで立上げ。フィールドバスは萌芽期。

  • 修理(保全):突発対応+時間基準の定期交換(TBM)。紙の点検票が標準。

  • 評価軸稼働率とタクト。改造は“電気図と梯子(ラダー)で何とかする”。


2|2000s:標準化と見える化—セル/SCADA/フィールドバス

  • 技術:デッキ/セル生産の拡大、SCADA/HMIで状態監視、DeviceNet/PROFIBUSなどフィールドバスが普及。3D-CADで設計の標準化が進行。

  • 設置:据付・配線のプレハーネス化、試運転手順のテンプレ化。

  • 修理MTBF/MTTRで保全KPIを管理、部品表と在庫の整備が始まる。

  • 評価軸稼働データに基づく改善。ライン停止要因の Pareto で改良点を決める。


3|2010s:IoT・協働ロボット・予兆保全—“止めない運用”へ

  • 技術:産業用PC、エッジゲートウェイ、OPC UAで多機種連携。協働ロボットやAMR/AGV、深層学習の外観検査が現場に浸透。

  • 設置シミュレーション/エミュレーションでオフライン立上げ、FAT/現調の精度が向上。

  • 修理:加速度・温度・電流の常時監視で**予兆保全(PdM)**を試行。モバイル作業指示/QR帳票で紙から脱却。

  • 安全:ISOに基づくリスクアセスメントとPL(安全度)の設計内製化。

  • 評価軸OEE(総合設備効率)不良率ダウンタイム。保全は「点検→改善提案」までが仕事に。


4|2020s:人手不足・DX・サプライ網—“成果保証×サステナ”の時代

  • 技術クラウド×エッジで遠隔監視、カメラ+AIで無人検品/無人レジ、ロボットは**RaaS(サブスク)**も一般化。

  • 設置:**モジュール化(スキッド/ユニット)**で現場工数を圧縮。AR/遠隔FATで立上げ短縮。

  • 修理予兆→計画停止→部品・人の同時着弾が基本。SLA(復旧時間保証)や成果連動契約が登場。

  • 運用サイバーセキュリティとバックアップ/リストアが“当たり前の保全”。省エネ運転・CO₂原単位の監視がKPIに。

  • 評価軸OEE×エネルギー×安全×セキュリティを一体で最適化。単体装置ではなく**ライン・倉庫・店舗全体の“オーケストレーション”**が価値。


5|業務プロセスはこう変わった(設計→設置→修理)

設計

  • 個別仕様→標準プラットフォーム+差分設計

  • CAD/PLMでBOM・配線・I/Oを一元管理、**仮想試運転(SiL/HiL)**でデバッグ前倒し

設置

  • プレ配線/プレ調整を工場側で完了→現場は位置決め+接続+最終調整

  • 安全受入検査(非常停止、フェンス、セーフティI/O)のチェックリスト化

修理・保全

  • TBM→CBM→PdMへ。遠隔監視+オンサイトのハイブリッド

  • 部品EoL(供給終了)管理代替設計の提案が標準業務に


6|ビジネスモデルの変遷

  • 一括請負(納入して終わり)
    LCS(ライフサイクルサービス):保守契約・消耗品供給
    XaaS/RaaS:月額で“稼働・処理量・品質”を約束
    成果連動:OEE改善や省エネ達成率に応じた報酬


7|“選ばれるSI/保全会社”の提供価値(いま)

  1. タイム・トゥ・バリュー短縮:テンプレ設計+モジュールで短工期

  2. 可視化の上手さ:ラインの見える化ダッシュボード現場インサイトの翻訳力。

  3. サイバー&セーフティの両立:ユーザ管理・パッチ計画・安全回路の整合。

  4. EoL/サプライ対策:代替部品・逆設計・在庫戦略の提示。

  5. 契約設計SLA/成果指標(OEE・故障率・エネ原単位)を握って運用まで伴走。


8|現場の“やりがい”はこう進化した ✨

  • 設計:シミュレーション通りに初回で滑らかに流れた瞬間。

  • 据付・立上げ:夜間切替でも翌朝から定常稼働を実現できた達成感。

  • 保全:予兆を掴み止まる前に直す。ログで自分の仕事が証明できる誇り。

  • データ運用:OEEや不良率がチューニングで目に見えて改善

  • PM/営業:設備費ではなく効果(処理量・人時削減)で選ばれる提案が通る喜び。


9|“今日から”使えるチェックリスト ✅

設計前ヒアリング

  • 目的KPI(人時削減/OEE/品質/CO₂)/変動要因(季節・SKU)/既存設備I/F/停止可能時間/ITポリシー(ID/通信/更新)

設置計画

  • モジュール化範囲/FAT→SATの試験項目/搬入動線・夜間制約/安全受入検査Checklist/教育(オペ・保全・IT)

保全運用

  • 重要部位の監視点(Vibration/Temp/Current)/閾値→アラート→工事手配の台本/部品EoL一覧/バックアップ周期


10|“提案が通る”3プラン(Good/Better/Best)💡

  • Good(可視化):主要設備の稼働・不良・停止要因をダッシュボード化。** TBM+遠隔監視**。

  • Better(最適化):+ AMR/協働ロボ・段取り最適化、CBM/PdMで計画停止。SLA導入。

  • Best(成果保証):+ 成果連動契約(OEE/人時/CO₂)、自動スケジューラ、RaaS。EoL管理と年次投資計画をセット。


11|これからの10年:自律×統合×人の拡張

  1. 自律化の深化:AIスケジューリングと自動復旧で“自己調整する工場/倉庫/店舗”。

  2. 統合メトリクスOEE×品質×エネルギー×安全×セキュリティの統合最適。

  3. 人の拡張:AR手順、会話型AIによる現場SOPナビ、新人でも“初日から戦力”。

  4. 循環とレジリエンス再生部品・改修前提設計、サプライ混乱に強い構成へ。

  5. ガバナンス:監査ログ・権限管理・パッチの運用監査が保全業務の中核に。


12|省人化は“仕組みの運用”で価値が決まる

機械を据えるだけの時代から、データで回し、成果で語る時代に。
設計の標準化×立上げの短縮×予兆保全×SLAを一本の糸でつなげるほど、
お客さまのニーズ(止めない・省人・安全・サステナ)に応えられ、
現場には数字で実感できるやりがいが積み上がります。

 

 


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